地域貢献活動レポート「自転車交通安全教室」広島県立五日市高等学校

2019.07.12

令和元年6月24日(月)広島県立五日市高等学校で「自転車交通安全教室」を開催。梅雨入り前の快晴のもと、瀬戸内海が見下ろせる校庭へ全校生徒に集まっていただきました。

まず、沖本教頭先生よりご挨拶がありました。「わが校では、多数の生徒が自転車で通学しており、自転車の交通安全とマナーは最優先事項です。佐伯警察署からも、自転車マナーアップ推進指定校に指定されています。意識を高く持って取り組みましょう」と語られました。
続いて、JA広島市五日市中央支店の岡田支店長代理より、「道路には、自転車・自動車・歩行者が混在します。いつ事故に巻き込まれて被害者になるかわからないし、または加害者になる場合もあるかもわかりません。今回の授業で正しいマナーを身につけて、事故を未然に防ぎましょう」と語られました。

「これから行う事例は全て、実際にあった事故を再現しています。大怪我をした方や亡くなられた方が本当にいることを忘れずに、ご覧ください」とMCの方が語ります。

まずは、生徒の皆さんに質問。「事故の多くは、時速何キロのときに発生しているか分かりますか?」
100km/hや80km/hなど、様々な声が上がりましたが、実は40km/h。
それほどの速度ではないと生徒の皆さんは感じていたようですが、まずはその40km/hで走行する車が人(人形)に激突するデモンストレーションから。

ガッシャーン!大きな衝突音と校庭に舞う砂煙…
キャー!という悲鳴と、どよめき…
ボロボロになった人形やグニャリと曲がった自転車の様子から、40km/hというスピードがとても大きな衝撃を与えることを実感することができました。

次は、自転車も通行できる歩道にて、自転車で走行している人たちが様々な違反をしています。

どこが悪いポイントなのか、生徒の皆さんに答えていただきました。

「飲酒運転」、「ヘッドホンの着用」、「並進走行」(2列)といった回答を生徒が自ら手をあげて答えてくれました。
その他にも、「携帯を持って片手運転」、「二人乗り」、「右側通行」といった危ない走行や、危ない目に遭わせた歩行者に「気をつけろ!」と怒鳴るなどのマナー違反もありました。
本来なら、すぐに謝り相手がケガをしていないかを確かめ、必要なら110番や119番に通報しなければなりません。このようなルールやマナーを守らない自転車運転が、歩行者との接触を誘発したり、大きな事故にもつながってしまいます。

次に、自転車が一時停止をせずに交差点を渡ろうとした時、どのような危険があるかを実演しました。

ひどい有様です。
交差点の前で一時停止し、左右を確認するだけで防げる事故がたくさんあるということが理解できたと思います。

続いて、雨が降る中、自転車が通行できる歩道ではどのような危険が考えられるでしょう。
小さなルール違反が大きな事故に繋がったケースです。

自転車に乗るとき、自分の身の安全を守ることも大切ですが、「小さなルール違反が、人に怪我をさせたり命を奪ったりするような大きな事故を起こす可能性があることを心に留めて欲しい」と、MCの方が語ります。

過去、実際にあった事故のケースですが、自転車に乗ったまま携帯を見ていた女子高生が、54歳の女性と衝突事故を起こしました。
その女性には後遺症が残り、女子高生はおよそ5400万円という賠償をすることになったそうです。
事故は、関わった全ての人の人生を変えてしまうことになります。
「交通事故の被害者にも、加害者にもならない」ことが大切です。

「自転車が走行できる歩道では、雨の日でも、晴れの日でも、車道寄りをゆっくり走行すること」、「歩行者が多い場合は相手に避けてもらうのではなく、一旦、自転車を降りて歩くこと」、これらを守ることが大切です。
もし、事故が起こった時、事故の当事者はもちろん、目撃者はすぐに安否の確認をすると共に、救急車を呼ぶ等の対応を行うことが重要です。

このような雨の日に自転車が走行する時の悪い点を示します。

「二人乗り」、「並進走行」、「傘を持って片手運転」、「右側を走行」が行われています。雨の日にこのような運転をしていたら危険なのは言うまでもありません。

このように、正しく「ルールを守れば、ルールがあなたを守ってくれる」ことを心に刻み、周りの人への心遣いができる運転を実行するべきですね。

さらに、急に開いた車のドアに激突する自転車事故です。
これもよくある事故のケースだそうです。

自転車は車の脇を走行する時は十分注意して、ドアが開くかもしれないことを想定して、徐行をしましょう。
一方、自動車の運転者もドアを開ける時は後方確認を怠らないようにしましょう。
実は、MCの方の友人が同じケースの事故にあったそうで、命は助かったものの、頭を10針縫う大怪我を負ったそうです。

さて、自転車を運転している時、気をつけたいのが自動車の「内輪差」。
具体的にどのようなものなのか、左折時の巻き込み事故の例を自転車の場合と、歩行者の場合をそれぞれ大型のトラックを使って実演しました。

それから、大型のトラックからみて、死角となる位置を実際に確かめたり腕一本分、わずか指一本分でも死角ができることを実際に体験しました。

最後に、交差点で右折しようとした自動車が対向車に道を譲ってもらったとき、死角から飛び出してきた自転車と衝突する事故の再現です。自動車が右折する時に起こる事故としてはかなり多く、「サンキュー事故」とも呼ばれています。

自転車を運転していて、その先の道路で車が停まっている場合、「何かがありそう」と考え、徐行をしましょう。
「大きな事故を起こさないよう、走行中は油断をしないこと。ルールをしっかりと守り、歩行者への気遣いも大切です。今日体感した事故の恐ろしさ、驚きを自分のものにしてください」とMCの方が語り、生徒の皆さんからの拍手で終了しました。

最後の挨拶で佐伯警察署の木村交通課長は「管内の自転車の事故は10代の高校生が多く発生しています。どうやって防げば良いのか、色々やってみましたが、やはり一人ひとりのマナー向上が大事です。自転車の事故は自分も相手も傷つき、時には死亡してしまうこともあります。勉強や部活で努力してきたことも失ってしまう。そうならないためにも交通安全に努めてください」と語られました。

生徒代表、2年生の正木さんの挨拶では「自転車の交通安全マナーを他人事ではなく自分の事として自覚し、今日の下校時から実践します」と宣言して、今回の教室は終了しました。

2年生の住田さんは「自転車が一時停止をせずに交差点で事故に遭ったのを見たことがあり、そのことを思い出して怖かったです。今日の下校から周りに注意を払って、坂道はゆっくり走ろうと思います」と語っていました。

「ルールを守れば、ルールがあなたを守ってくれる」
この言葉を心に刻んで、安全・安心な学校生活を送ってほしいですね。

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