地域貢献活動レポート「自転車交通安全教室」福山市立福山高等学校
2023.08.31

令和5年7月12日(水)福山市立福山高等学校にて「自転車交通安全教室」を開催しました。快晴のグラウンドに生徒の皆さんが集まりました。
開会式では、大町教頭先生が「交通事故のことを聞いたり見たりすることはあると思います。そのときは気をつけようと思うけれど、日々の生活では忘れがちです。今日は実際あった事故の再現をしますので、それらを自分のこととして、しっかり実感してください」と挨拶されました。
続いて、JA福山市赤坂支店の河合支店長から「令和4年度の県内の交通事故は4300件です。そのうちおよそ20%、880件に自転車が関わっています。今日は通学や日常で使うことが多い自転車の危険性やルールをしっかり実感し身につけて、事故のない学生生活を送っていただきたいと思います」と挨拶されました。
スタントチームから「これからいろんな事故のケースを実際に再現するスタントを行いますが、全て本当にあった事故なので、自分のこととして想像しながら見てください」とありました。
まずは交通事故が起こるときの自動車のスピードについて。
「交通事故は、自動車がどのぐらいのスピードのとき、起きているのでしょう?実は…40km/h以上のときが多いです。では実際に見ていただきましょう」
およそ40km/hで走行する自動車が後ろから人(人形)に衝突。
…ガッシャーン!という音と衝撃が校庭に響き渡ります。悲鳴やどよめきなど、生徒たちの様々な反応が聞こえてきました。
衝突したあとの自転車はご覧の通り使い物になりません。衝撃の強さを伺い知ることができます。
さて次は、自転車通行可の歩道の場面です。この標識にもあるように自転車も通行できますが、歩道では常に歩行者が優先されます。
そのルールを無視し、自転車が歩行者を優先せず勝手な運転をしたときの、最悪の事態の再現です。
自転車が通行できる歩道であっても、常に歩行者を優先し、左側を走行してください。
今度は見通しの悪い交差点で、一時停止をせず飛び出した自転車が走行中の自動車と衝突する事故です。
大変な事故となりました。では、どうすればよかったのでしょう。
見通しの悪い場所では、たとえ標識がなくても一時停止と左右の確認をすることです。
これをするだけで防げる事故はたくさんあります。
続いて、ベビーカーを押し横断歩道を渡ろうとする歩行者。車は進路を譲るため、その手前で一時停止しました。しかしその車の影から直進してきた自転車が歩行者と衝突してしまいます。
ひどい事故でした。残念ながら、この事故でベビーカーに乗っていた赤ちゃんは亡くなってしまいました。
ではどうすれば防げたのでしょう。
ここでは、自転車に乗る人の予測が重要です。自転車の前方に車が停止していたら、何かあるのでは?と、車や歩行者が出てくる可能性を予測し、一時停止や徐行をすべきだったのです。
次に自転車が走行中に行ってはいけないルール違反や危険行為について見てみましょう。
左側には、傘をさしていたり、携帯電話をかけながら運転している2台の自転車がいます。どちらも危険な行為です。加えて、2台並んで並走することもいけません。右側には、二人乗りの自転車。言うまでもなく危険行為です。
このような人たちがそのまま道路を走行した時、どんなことが起こるのでしょう。
自動車も巻き込まれて大変な事故になってしまいました。
ではどうすればよかったでしょう。
それぞれがルールを守ればよかったのです。
ここにもあるように「ルールを守れば、ルールがあなたを守ってくれる」
叱られるから仕方なくルールを守るのではなく、自分や相手を守り、加害者とならないためにルールを守るべきです。
さて、死角と内輪差についてご存知でしょうか?
車が大きければ大きいほど、自らの車体に邪魔されてドライバーから見えない部分が多くなり、これを死角と言います。そばにいる歩行者や自転車の場所が見えなくなる場所を確認してみました。
次に内輪差ですが、大型車の内側に自転車が巻き込まれる事故の再現をご覧ください。
このように、巻き込む前は人形との間には人が通れるぐらいの間隔がありましたが、カーブを曲がる際には巻き込まれてしまいます。このようにトラックなどの大型車がカーブを曲がるとき、後輪が前輪よりも内側に入る「内輪差」が発生し、大きい車であるほど大きくなります。自転車側は大きな車が横に来たら、後ろに下がり先に行かせるなど、できる限り近づかないことが対策になります。
最後に暗い夜道で起きた事故のケースです。ヘルメットを正しく装着している人と、顎紐をかけてない人(オレンジ)が衝突します。
顎紐をかけていなかった側(オレンジ)のダメージが大きいようです。
自転車乗車時のヘルメット装着が努力義務化となりました。ただし、ヘルメットも正しくかぶらないと意味がないことがわかります。それと、必ずライトの点灯をしましょう。明るく照らすだけでなく、自分の位置を車や歩行者に知らせる意味もあります。
福山西警察署交通課大月課長より「様々な事故のケースが再現されましたが、色々と感じていただけたのではないでしょうか。今日感じたことを自分事として考え、気をつけて行動してください。ルールを守れば、みなさんをルールが守ってくれると思います。事故を起こさないこと、事故にあわないことを心がけてください」と講評いただきました。
生徒代表の高橋さんより「今日の事故の再現で感じたことを活かして、自分が事故にあったり、加害者にならないよう、ルールを守ることを心がけようと思います。本日はどうもありがとうございました」と、スタントチームと来賓の皆さんへの感謝の言葉が述べられました。
解散後、さらに高橋さんにお話を聞いてみました。「実は、一時停止をせずに車道へ出て自動車と接触するというケースにそっくりな事故にあった経験があり、ドキドキしながらみていました。それからは一時停止ルールを守っているし、これからも心がけたいと思います。みんなにも伝えたいですね」とのことでした。
みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれる。
このことを心に刻み、これからも安全安心な学校生活を送ってほしいと思います。