地域貢献活動レポート「自転車交通安全教室」尾道市立向東中学校

2022.08.31

令和4年7月12日(火)尾道市立向東中学校にて「自転車交通安全教室」を開催しました。開始直前まで雨模様だった空が、まるで嘘のよう。快晴のグラウンドに、全校生徒の皆さんに集まっていただきました。

開会式が始まりました。司会・進行は、普段から地域の安全を見守る「まちづくり講座」代表の村上さんが務めます。
まずは、吉用校長先生が「町内はもちろん、学校周辺には危険の多いエリアがあります。実際の事故のシーンをみていただくことで、危険な場所の予測をし、ルールを守る大切さを知り、さらにマナー向上をはかることで、皆さんが安全安心な生活を送ってほしいと思います」と挨拶されました。

続いて、JA尾道市の眞田常務が「県域で起きている交通事故は4655件、そのうち自転車事故は964件と、交通事故にあった10人に2人が自転車の事故です。これはとても高い数字です。日々、通学で自転車を使うことが多いと思います。今日の事故の再現を見て、その危険性を実演から学んでください」と挨拶されました。

スタントチームからの挨拶があり事故実演がスタート。
まずは生徒の皆さんに質問です。
「交通事故の多くが、どれぐらいのスピードで起きているか、予想してみてください」
生徒の皆さんからは20km/h?それとも80km/h?などの声があがりましたが、答えは40km/hです。
生徒の皆さんは意外とゆっくりかな?という反応です。
では、実際に40km/hで衝突したらどうなるのか…
「自転車での衝突実演」を行いました。

後方からおよそ40km/hで向かってきた自動車が、自転車を運転する人(人形)に激突!跳ね飛ばされた人形と自転車は「ガチャーン!」という大きな衝突音を響かせました。自転車のフレームもぐちゃぐちゃ…生徒たちの悲鳴とどよめきが聞こえました。

続いて、自転車も通行できる歩道で、自転車で走行中、やってはいけない様々な違反や危険行為をする人たちの様子を「違反自転車実演」でみてみましょう。

(左上)ヘッドホンで音楽を聴きながらの運転。これは周りの音が聞こえづらく危険です。
(右上)電話をしながらの運転や傘さし運転。注意力が散漫になり危険です。
(左下)飲酒運転!自転車も車両の1つなので自動車と同じです。絶対にやめてください。

この他、2人乗りや並進走行、右側走行もルール違反です。このような小さなルール違反が重なると、大きな事故に繋がってしまいます。

自転車も車両の1つなので、原則左側走行です。歩行者を怒鳴ったりしてもいけません。
もし、皆さんが歩行者にぶつかってしまったときは、まずは相手への謝罪と安否の確認を行い、その後、110番通報をしましょう。

次に「飛び出し自転車の衝突事故」。見通しの悪い交差点での出会い頭の事故です。

これは危ないですね。では、どうすれば良かったのでしょう。

ご覧いただければわかるように、この事故を防ぐためにすべきことは一つ。
見通しの悪い場所では、必ず一時停止・左右確認をすることです。
たったこれだけの確認で防ぐことのできる事故は多くあります。

こちらは雨天時、「自転車通行可の歩道で起きる事故」です。

歩道では歩行者が優先です。この場合、自転車は車道寄りの歩道をゆっくり走るのがルール。自転車のベルは人に避けてもらうために使ってはいけません。霧で周りが見えづらかったり、ブレーキが壊れて止まれない時など、自分の存在をアピールする必要があるときに使います。ではどうすればよかったのでしょう。

このようなケースで、実際にあった事故を紹介します。
無灯火で自転車を運転し、携帯電話を見て、片手運転をしていた女子高生が、54歳の女性にぶつかってしまい、被害者は歩行困難になり職も失うという結果に。その女子高生は5,000万円という高額な賠償を負うこととなりました。
このような事にならないよう責任をもって自転車のハンドルを握るように心がけましょう。

続いてこちらは、雨の日に「傘さし運転」、「2人乗り」、「並進走行」など、皆さんもついついやっているかもしれない、小さな「ルール違反の重なりが引き起こす大きな事故」です。

ひどい事故ですね。雨の日は特に気をつけていただきたいです。
でも、このような事故を起こした時でも、すぐに被害者に声をかけ、周りの大人の人に知らせたり、110番・119番通報するなどの素早い対応をすることで、救える命があります。みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれます。
みんながルールを守った場合はこうなります。

ルールを守るのは、誰かに怒られるから…が理由ではありません。
「自分やみんなを守るために、ルールを守る」ということを忘れないでください。

次に、司会者の友人が実際に起こした事故を紹介します。この事故で友人は十数針縫う大怪我をしたそうです。自転車で走行中、急に開いた車のドアに衝突してしまった「自動車のドア解放による衝突事故」です。

とても怖いですね。この時自転車側ができることは、停車中の車の横を通る際、危険を予測し、徐行することです。また自動車に乗車する側になった場合、車から降りるときにしっかりと後方確認をしましょう。

ここからは、大型車の内側に自転車が巻き込まれる内輪差による巻き込み事故を再現します。

人形を使って、左折巻き込み事故の際の内輪差を確かめます。巻き込む前はトラックと人形の間には人が通れるぐらいの間隔がありますが、カーブを曲がる際に巻き込まれてしまいます。

このようにトラックなどの大型車がカーブを曲がるときは、後輪が前輪よりも内側へ入る『内輪差』がかなり大きいことがわかります。

実は右側の運転席側からは「死角」が2カ所できます。生徒の皆さんも腕や指をつかって、死角の疑似体験をしました。

「内輪差」と「死角」について体験し、理解と意識を深めれば、巻き込み事故を未然に防ぐことに繋がります。

最後は車と車がお互いに譲り合うことをきっかけに起きてしまう「サンキュー事故による自転車事故」です。
駐車場に入ろうとして右折してきた車に、対向車線のトラックが道を譲り、そのまま右折進入した際、トラックの脇(横)から飛び出してきた自転車が衝突してしまいます。

このような事故を防ぐとすれば、自転車の前方に車が停止していたら、何かあるのでは?と、車や歩行者が出てくる可能性を予測し、一時停止や徐行をすべきでした。

尾道警察署交通課の山田課長より「本日、実演していただいた中でも小さなルール違反は、心当たりがあるなと思う人も多いと思います。もし誰かがやっていたら注意をしてあげてください。私たちの管轄エリアでも、実は命を落としたかもしれない小さな事故がそこら中で起きています。実演でもあったように、自転車事故の原因のほとんどは出会い頭です。とにかく止まって左右を見る。これだけで大部分が防げるんです。また事故に巻き込まれたり、目撃したらすぐに通報してください。大丈夫です!と立ち去るのはダメです。自転車同士や自動車と接触した場合でも、現場を離れてはいけません。ひき逃げとみなされてしまう場合があります。」と語られました。

生徒代表の挨拶で、生徒会長の森谷さんより「実際の事故の事例をみて、怖さを実感することができました。もしも自分だったら…ということを常に考えて、事故を未然に防いで行きたいと思います。本日はどうもありがとうございました」と感謝のことばが贈られました。

みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれる。
今日の自転車交通安全教室で感じたことを忘れずに、ルールをしっかり守って、安全安心な学校生活を過ごしましょう。

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