地域貢献活動レポート「自転車交通安全教室」安芸高田市立甲田中学校

2022.06.30

令和4年5月11日(水)薄曇りから晴れ間が現れ好天となった、安芸高田市立 甲田中学校にて「自転車交通安全教室」を開催しました。全校生徒の皆さんに校内グラウンドに集まっていただきました。

山田校長先生が「今日は自転車の危険性について理解し、事故に遭わないように生活していくための授業です。実際の事故の再現場面を見て、日頃の自転車の乗り方の反省点にも自ら、気づき、考えることを通して、安心・安全に生活するための機会にしてほしいと思います。」と挨拶されました。

続いて、JA広島北部 甲田支店の新田支店長が「県域で起きている交通事故は4655件、そのうち自転車事故は964件と、交通事故に遭った10人に2人が自転車の事故ということになります。とても高い数字です。日頃、自転車を使うことが多いことは、私もここの卒業生なので知っています。今日の事故の再現を見て実感し、事故のない安心安全な生活を送っていただきたいと思います」と挨拶されました。

スタントチームからの挨拶があり事故実演がスタート。まずは質問から。
「交通事故の多くが、どれぐらいのスピードで起きているか、予想してみてください」
生徒の皆さんからは20km/h~80km/hなどありましたが…
答えは40km/hです。では、実際に40km/hで衝突したらどうなるのか…
「自転車での衝突実験」を行いました。

後ろから40km/hで向かってきた自動車が、自転車に乗せた人(人形)に激突!
自転車と人形は跳ね飛ばされ、自転車のフレームもぐちゃぐちゃに…
大きな衝突音がグラウンドに響き渡り、生徒たちの悲鳴とどよめきが聞こえます。

続いて、自転車も通行できる歩道で、自転車で走行中、様々な違反や危険行為をする人たちの様子です。スタントチームの皆さんの「違反自転車実演」です。

(左上)ヘッドホンで音楽を聴きながらの運転。これは周りの音が聞こえづらく危険です。
(右上)電話をしながらの運転や傘さし運転。注意力が散漫になり危険です。
(左下)飲酒運転!自転車も車両の1つなので自動車と同じです。絶対にやめてください。

この他、2人乗りや並進走行、右側走行もルール違反です。このような小さなルール違反が重なると、大きな事故に繋がってしまいます。

自転車も車両の1つなので、原則左側走行です。歩行者を怒鳴ったりしてもいけません。
もし、皆さんが歩行者にぶつかってしまったときは、まずは相手への謝罪と安否の確認を行い、その後、110番通報をしましょう。

次に「飛び出し自転車の衝突事故」。見通しの悪い交差点での出会い頭の事故です。

この事故を防ぐためにすべきことは一つ。見通しの悪い場所では必ず一時停止・左右確認をすることです。これだけで防ぐことのできる事故は多くあります。

こちらは雨天時、「自転車通行可の歩道で起きる事故」です。

歩道では歩行者が優先です。この場合、自転車は車道寄りの歩道をゆっくり走るのがルール。自転車のベルは人に避けてもらうために使ってはいけません。霧で周りが見えづらかったり、ブレーキが壊れて止まれない時など、自分の存在をアピールする必要があるときに使います。ではどうすればよかったのでしょう。

ここで実際にあった事故を紹介します。
無灯火で自転車を運転し、携帯電話を見て、片手運転をしていた女子高生が、54歳の女性にぶつかってしまい、被害者は歩行困難になり職も失うという結果に。その女子高生は5000万円という高額な賠償を負うこととなりました。
このようなことにならないよう責任をもって自転車のハンドルを握るように心がけましょう。

こちらは、雨天時、「傘さし運転」、「2人乗り」、「並進走行」など、ついついやっているかもしれない、小さな「ルール違反の重なりが引き起こす大きな事故」です。

ひどいですね。でも、このような事故を起こした時でも、すぐに被害者に声をかけ、周りの大人の人に知らせたり、110番・119番通報するなどの素早い対応をすることで、救える命があります。みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれます。
みんながルールを守った場合はこうなります。

ルールは誰かに怒られるから守るのではなく、自分やみんなを守るためのものだという事を忘れないでください。

次に実際に起きた事故を紹介します。自転車で走行中、急に開いた車のドアに衝突してしまった「自動車のドア解放による衝突事故」です。

とても怖いですね。この時、自転車側ができることは、停車中の車の横を通る際、危険を予測し、徐行することです。また自動車に乗車する側になった場合、車から降りるときにしっかりと後方確認をしましょう。

これも実際によくあるケースです。大型車の内側に自転車が巻き込まれる内輪差による巻き込み事故を再現します。

人形を使って、左折巻き込み事故の際の内輪差を確かめます。

このようにトラックなどの大型車がカーブを曲がるときは、後輪が前輪よりも内側へ入る『内輪差』がかなり大きいことがわかります。

実は右側の運転席側からは「死角」が2カ所できます。生徒の皆さんも腕や指をつかって、死角を疑似体験しました。

「内輪差」と「死角」について体験していただきました。「死角」について理解し、意識すれば、巻き込み事故を未然に防ぐことに繋がります。

最後に見ていただいたのは、車と車がお互いに譲り合うことをきっかけに起きてしまう「サンキュー事故による自転車事故」です。
駐車場に入ろうとして右折してきた車に、対向車線のトラックが道を譲り、そのまま右折進入した際、トラックの脇(横)から飛び出してきた自転車が衝突してしまいます。

このような事故を防ぐとすれば、自転車の前方に車が停止していたら、何かあるのでは?と、車や歩行者が出てくる可能性を予測し、一時停止や徐行をすべきでした。

安芸高田警察署地域交通課の小川課長より「すごく分かりやすい事故の実演でしたね。自転車に乗っているとき、どこに危険がありどうすれば良いのか、また事故が起こった時、どう行動すれば良いのか、よく理解していただけたのではないでしょうか。自転車は手軽ですが、自分次第で安全にも危険にもなるということがよく分かりましたね。私にはとても大事に思っている可愛い子供がいます。それと同じように皆さんを大切に思う家族や友人がいること、自転車を運転する時はそのことを忘れないでください。これから先、車やバイクに乗ることになっても、ルールを守る意識を持っていてください。そして皆さんの中から私たちと一緒に働く警察官になる人が現れることも期待しています」と、熱意のこもった挨拶をいただきました。

そして生徒代表より「なぜ、ヘルメットを着けることやルールを守ることが大切なのか、事故の実演をみてよく分かりました。交通安全に気を付けて過ごしていこうと思います」などと感謝の言葉が贈られました。

今日の感想を生徒に聞いてみました。
3年生の倉橋大誠さん
「最初の40km/hで自転車に衝突する実演には、とてもびっくりしました。音がすごかったです。普段は家から5分ぐらい自転車を使っています。死角のことや雨の日の早めのブレーキなど、もっと気を付けようと思いました」

みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれる。
今日の自転車交通安全教室で感じたことを忘れずに、ルールをしっかり守って、安全安心な学校生活を過ごしましょう。

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