地域貢献活動レポート「自転車交通安全教室」広島市立江波中学校

2022.04.28

令和4年3月17日(木)すっかり春めいた快晴のもと、広島市立江波中学校にて「自転車交通安全教室」を開催しました。1時間目は1年生、2時間目は2年生の順に生徒の皆さんに校内グラウンドに集まっていただきました。

木下校長先生より「本日学ぶのは、自分の命と人の命を守る話です。私たちの学校の周辺はもちろん、中区の繁華街へ自転車を使って行くことが多く、これから見せてもらう様々な事故のシーンに当てはまることがあると思います。見て感じ学んだことを普段の日常に活かしてください」と挨拶されました。

続いて、JA共済連広島 下江副本部長より「県域で起きている交通事故は4655件、そのうち自転車事故は964件と、その割合は約20%にのぼります。今日は実際の事故の恐ろしさや事件性を実感していただきます。安全で安心な生活をおくることができるよう学んでください」と挨拶されました。

スタントチームからの挨拶があり、早速、事故実演の始まりです。
まずは「自転車での衝突実験」です。まず、交通事故の多くが、どれぐらいのスピードで起きているか、生徒の皆さんにお聞きしました。20km/h~80km/hなど、それぞれに声が上がりましたが…答えは40km/hです。実際に40km/hで衝突したらどうなるのか…

後ろから40km/hで向かってきた車に、自転車に乗せた人(人形)が激突!大きな衝突音とともに人形は跳ね飛ばされ、自転車のフレームもぐちゃぐちゃに…生徒たちの悲鳴とどよめきが聞こえます。

続いて、「違反自転車実演」です。
自転車も通行できる歩道で、自転車で走行中に様々な違反や危険な行為をしている人たちの様子を見てもらいました。

(左上)ヘッドホンで音楽を聴きながら運転すると、周りの音が聞こえづらくなります。
(右上)電話をしながらの運転や傘さし運転などは注意力が散漫になります。
(左下)お酒を飲んで自転車を運転すると、自転車も車両の1つなので、自動車と同じく飲酒運転となります。
(右下)ルール違反となる2人乗りや並進走行、右側走行をしています。
このようなルール違反が重なると、大きな事故に繋がることがあります。自転車も車両の1つなので、原則左側走行です。もし、歩行者にぶつかってしまったときは、まずは相手への謝罪と安否の確認を行い、その後、110番通報をしましょう。

次に「飛び出し自転車の衝突事故」。見通しの悪い交差点での出会い頭の事故です。

この事故を防ぐためにすべきことは一つ。見通しの悪い場所では必ず一時停止・左右確認をすることです。これだけで防ぐことのできる事故は多くあります。

こちらは、雨天時「自転車通行可の歩道で起きる事故」です。

まず、歩道では、歩行者が優先です。この場合、自転車は車道寄りの歩道をゆっくり走るのがルールです。また、自転車のベルは人に避けてもらうために使ってはいけません。霧で周りが見えづらかったり、ブレーキが壊れて止まれない時など、自分の存在をアピールする必要があるときに使います。

ここで実際にあった事故を紹介。無灯火で自転車を運転し、携帯電話を見て、片手運転をしていた女子高生が、54歳の女性にぶつかってしまい、被害者は歩行困難になり職も失うという結果に。その女子高生は高額な賠償を負うこととなりました。このようなことにならないよう責任をもってハンドルを握るように心がけましょう。

雨天時、「傘さし運転」、「2人乗り」、「並進走行」などの「ルール違反の重なりが引き起こす大きな事故」です。

もしこのような事故を起こしても、被害者に声を掛けて、110番・119番通報するなどの素早い対応をすることで、救える命があります。みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれるのです。

こちらは自転車で走行中、急に開いた車のドアに衝突してしまった「自動車のドア解放による衝突事故」です。

ここで自転車側ができることは、停車中の車の横を通る際にはこのような危険を予測し、徐行することです。また自動車に乗車する側になった場合は、車から降りるときにしっかりと後方確認をしましょう。

次に「大型車の内輪差と死角の危険性」です。大型車の内側に自転車が巻き込まれる内輪差による巻き込み事故を再現しました。

人形を使って、左折巻き込み事故の際の内輪差を確かめます。

このようにトラックなどの大型車がカーブを曲がるときは、後輪が前輪よりも内側へ入る『内輪差』が大きくなります。 実は右側の運転席側からは「死角」が2カ所できます。生徒たちも腕や指をつかって死角を疑似体験しました。

「内輪差」と「死角」について実感できたと思います。「死角」について理解し、意識すれば事故を防ぐことができます。

互いに譲り合うことで起きてしまう「サンキュー事故による自転車事故」。
駐車場に入ろうとして右折してきた車に、対向車線のトラックが道を譲り、そのまま右折進入した際、トラックの脇(横)から飛び出してきた自転車が衝突してしまった事故です。

このような事故を防ぐには、自転車の前方に車が停止していたら、何かあるのでは?と、車や歩行者が出てくる可能性を予測し、一時停止や徐行をすべきでした。

最後に、広島中央警察署 交通課 先家毅倫警部補より「事故実演で触れていたように、自転車は便利な道具ですが、自動車と同じ車両(軽車両)なので守るべきルールがあります。例えば一時停止の標識を守らなかった場合などは、取り調べとなることもありますから気を付けましょう。それと少し前ですが、私が見回っていたエリアでも、今日の事故実演でもあったような、歩道を並進走行している自転車3人組を見つけ、注意をするケースがありました。皆さんも気を付けてください。さらに自転車で気を付けたいこととして、鍵はしっかりツーロック。歩道は歩行者優先。それから、もし事故にあったらすぐに私たち警察に通報してください。万が一のための保険(共済)についてご家族で加入を検討してみてくださいね」と語られました。

そして、生徒代表より感謝のことばが述べられ授業は終了しました。

今日の感想を生徒に聞いてみました。
1年生の安永真奈美さん

「最初の自転車の衝突実験はとてもびっくりしました。もし自分だったらと思い、身近に感じました。自分の場合だと横2列で並進走行したこともあったので改めようと思いました。これからは自分だけでなく、周りにも注意をしようと思います」

2年生の北内莉杏さん

「事故実演は怖かったです。以前、自動車事故を目撃したことがあったのを思い出しました。これからもし、事故を目撃することがあったら、すぐに通報するなどして助けられるように行動しようと思います。また、学校の周りは大きなトラックも多いので、内輪差に気を配りながら自転車に乗ろうと思います」

みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれる。
今日の自転車交通安全教室で感じた気持ちを心に置き、ルールを守って楽しく、安全安心な学校生活を送って欲しいと思います。

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