地域貢献活動レポート「自転車交通安全教室」広島県立高陽高等学校

2021.04.30

令和3年3月15日(月)広島県立高陽高等学校にて「自転車交通安全教室」を開催しました。快晴の空のもと生徒の皆さんに校内グラウンドに集まっていただきました。

まず中野校長先生より「私たちの学校のある高陽団地は交通量が多く、自転車通学する皆さんにとって危険なことがたくさんあります。実際の事故のデモンストレーションをみて、危険の予測を身につけると共に、交通安全のルールやマナーの意識向上に繋がることを願っています」と挨拶されました。

続いて、JA広島市落合支店・口田支店 中西支店長より「県域で起きている交通事故に占める、自転車事故の割合は約20%にのぼります。これから事故が起こる場面を実際に見て、その危険性を体感することで、ルールの大切さを学んでいただき、安全で快適な学生生活を送ってください」と挨拶されました。

まず、交通事故の多くが、どれぐらいのスピードで起きているか。生徒の皆さんにお聞きしました。

20km/h・40km/h・60km/h・80km/h・100km/hそれぞれに手が上がりました。答えは40km/hです。

実際にこのスピードで衝突したときの衝撃を見てもらいます。後ろから40km/hで向かってきた車に、自転車に乗せた人(人形)が激突しました。激しい衝突音とともに人形は跳ね飛ばされ、自転車のフレームもぐちゃぐちゃになり、生徒からは悲鳴があがりました。

引き続き、MCの説明を交えて様々なケースで実演が行われました。順に紹介します。

(1)自転車も通行できる歩道で、自転車で走行中に様々な違反や危険な行為をしている人たちの様子。

(左上)ヘッドホンで音楽を聴きながら運転すると、周りの音が聞こえづらくなります。
(右上)電話をしながらの運転や傘さし運転などは注意力が散漫になります。
(左下)お酒を飲んで自転車を運転すると、自転車も車両の1つなので、自動車と同じく飲酒運転となります。
(右下)ルール違反となる2人乗りや並進走行、右側走行をしています。
これらのようなルール違反が重なると、大きな事故に繋がることがあります。自転車も車両の1つなので原則、左側走行です。もし、歩行者にぶつかってしまったときは、まずは相手への謝罪と安否の確認を行い、その後、110番通報をしましょう。

(2)見通しの悪い交差点で出会い頭の事故の場合。

どうすればよかったのでしょう?

このように、見通しの悪い場所では必ず一時停止・左右確認をする。これだけで防ぐことのできる事故は多くあります。

(3)雨天時、自転車通行可の標識のある歩道での事故。

どうすればよかったのでしょう?

歩道では、歩行者が優先です。この場合、自転車は車道寄りの歩道をゆっくり走るのがルールです。また、自転車のベルは人に避けてもらうために使ってはいけません。霧で周りが見えづらかったり、ブレーキが壊れて止まれない時など、自分の存在をアピールする必要があるときに使います。
実際にこのような事故がありました。無灯火で自転車を運転し、携帯電話を見て、片手運転をしていた女子高生が、54歳の女性にぶつかってしまい、被害者は歩行困難になり職も失うという結果に。その女子高生は高額な賠償を負うことになりました。このようなことにならないよう責任をもってハンドルを握るように心がけましょう。

(4)雨天時、「傘さし運転」、「2人乗り」、「並進走行」などのルール違反が積み重なった事故の場合。

もし事故を起こしても、被害者に声を掛けて、110番・119番通報するなどの素早い対応をすることで、救える命があります。

どうすればよかったのでしょう?

このように、みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれます。

(5)走行中の自転車が急に開いた車のドアに衝突する事故。

停車中の車の横を自転車で通る際は、この様な危険を予測し、徐行しましょう。車から降りるときは、しっかりと後方確認をしましょう。

(6)大型車の内輪差と死角による巻き込み事故の場合。

人形を使って左折巻き込み事故を再現しました。このようにトラックなどの大型車がカーブを曲がるときは、後輪が前輪よりも内側へ入る『内輪差』が大きくなります。

その結果、右側の運転席から「死角」が2カ所できます。皆さんが「死角」について理解し、意識すれば事故を防ぐことができます。

説明の後、生徒たちも腕や指をつかって死角を疑似体験しました。

「内輪差」も「死角」も車が大型になるほど大きくということが、理解できたと思います。

(7)サンキュー事故の場合。

駐車場に入ろうとして右折してきた車に、対向車線のトラックが道を譲り、そのまま右折進入した際、トラックの脇(横)から飛び出してきた自転車が衝突した事故です。 このような事故を防ぐには、自転車は前方を走る車が停止したら、何かあるのでは?と、車や歩行者が出てくる可能性を予測し、一時停止や徐行をするべきでした。

最後にMCの方から、「みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれます。今日見たスタントを自分のこととして心に置いて、事故のない学校生活を送ってください。」との言葉がありました。

終わりの挨拶で、安佐北警察署交通課 古山 学 課長より、数々の悲惨な事故現場を目撃してきた、自らの経験を踏まえ「みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれる…その通りです。スタントの皆さんが示されていたように、交差点などでちょっと見えにくいとき、何かあるかもしれないと、ちょっとでも確認してみることが大事です。また、なぜルールがあるのか、あらためて感じることができたのではないかと思います。少し注意を払うことの積み重ねが事故に遭わないことはもちろん、加害者にならないことに繋がります。今日の下校から始めて、これからの人生が楽しく過ごせることを願っています」と語られました。

そして生徒代表より、感謝の言葉が述べられ授業は終了しました。

今日の感想を生徒に聞いてみました。北野彩花さんは「私自身、自転車で登下校中、ひやっとすることが何度かありました。今日の事故の再現で、その時のことを思い出し、改めてルールの大切さを感じました。」

みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれる。
今日の自転車交通安全教室で感じた気持ちを心に置き、ルールを守って楽しく、安全安心な学校生活を送って欲しいと思います。

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