地域貢献活動レポート「自転車交通安全教室」福山市立一ツ橋中学校
2020.12.25

令和2年11月25日(水)福山市立一ツ橋中学校にて「自転車交通安全教室」を開催しました。快晴の空のもと、1年生87名の生徒の皆さんに校内グラウンドに集まっていただきました。
最初に、依田校長先生より挨拶がありました。「交通安全について学ぶことのできる機会をくださりありがとうございます。昨年、中高生の自転車事故は年間自転車死傷者事故の約2割。スタントを見てしっかり学び、自分を守ってください」
続いて、JA福山市手城支店 三村支店長より「本日は、JAとJA共済が企画・支援し、広島県警察本部に全面的にバックアップいただいております自転車交通安全教室を、学校行事の一環として開催いただきありがとうございます。この活動を通じて、JAに親近感を覚えていただければと思います。私も、車を運転中に自転車と事故をした経験があります。1度は高齢者で、もう1度は中学生でした。どちらも大事には至らなかったため、今ここに立つことができていると思っています。 皆さんも、被害者や加害者にならないようスタントを見て学び、事故の無い快適な学生生活を送れるようにしましょう」と、自らの経験を交えて語られました。
スタントの開始にあたり、MCより生徒のみなさんへ質問!
「事故の多くは、時速何km/hのときに発生していると思いますか?」
20km/h・40km/h・60km/h・80km/h・100km/hそれぞれに手が上がります! 「答えは40km/hです。さてこの速度がどれぐらいの速さなのか、実際に再現してみましょう」
人形の乗った自転車に後ろから車が衝突!激しい衝突音とともに、生徒からは悲鳴があがりました。人形は跳ね飛ばされ、自転車のタイヤは衝撃で音を立ててパンクし、フレームもぐちゃぐちゃになりました。
MCの説明を交えて様々なケースの実演が行われました。順に紹介します。
(1)ヘッドホンをし、大声で歌を歌いながら自転車を運転しています。
「周りの音が聞こえづらく危険です。周りの音が聞こえるようにしないといけません」
(2)電話をしながらの運転です。
「注意力が散漫になり危険です。傘さし運転なども同じく危険ですね。両手で運転しましょう」
(3)お酒を飲みながらの運転です。
「自転車も車両の1つです。お酒を飲んで車を運転したら飲酒運転になるように、自転車でも飲酒運転となります」
(4)飲酒運転をする自転車と、対面からくる2人乗り・並進走行・右側走行をする自転車の事故です。
「ご覧のとおり、歩行者はもちろん、お互いにぶつかる危険があります。自転車は車両なので、原則左側走行です。もしも、歩行者とぶつかったときは、まずは相手の安否の確認と謝罪、そして110番通報をしなければなりません。近くにいる人に声をかけるなどの対応も必要です」
(5)見通しの悪い交差点で出会い頭の事故です。
「見通しの悪い場所では必ず一時停止・左右確認をする。これだけで防ぐことのできる事故は多くあります」
(6)雨天時に自転車通行可の標識のある歩道での事故です。
「歩道では、歩行者が優先です。この場合、自転車は車道寄りをゆっくり走るのがルール。また、ベルは人に避けてもらうために使うものではありません。例えば霧で周りが見えづらかったり、ブレーキが壊れて止まれない時など、自分の存在をアピールするときに使うものです」
「実際にあった事故の例をお話しします。無灯火で自転車に乗り携帯電話を見て、片手運転をしていた女子高生が、54歳の女性にぶつかってしまい、被害者は歩行困難になり職も失うという結果に。その女子高生は高額賠償を負うことになりました。責任をもってハンドルを握るように心がけましょう」
(7)「傘さし運転」、「2人乗り」、「並進走行」などの小さなルール違反が積み重なり、大きな事故になったケースです。
「もし事故をしてしまっても、被害者に声を掛け、110番・119番通報など、素早い対応で救える命もあります。みんながルールを守れば、ルールがみんなを守ってくれることを、ぜひ覚えておいてください」
(8)急に開いたドアに衝突する事故です。
「自転車を運転中、停車している車の横を通る際は、この様な危険を予測して徐行して通りましょう。車から降りるときは、しっかりと後方確認をして降りることが大切です。実際にこれと同じ様な事故にあった私の友人は、頭部を10針縫うという大けがを負いました。自転車を運転する時や、将来、車を運転する時にはこのような事故には気を付けましょう」
(9)大型車による内輪差と死角についてです。
「このように人形を使って左折巻き込み事故を再現。トラックなどの大きな車がカーブを曲がるときに、後輪が前輪よりも内側へ入り『内輪差』ができます」
「それともう1つ。右側の運転席からは見えにくい場所、つまり2カ所の『死角』ができます。皆さんがその死角のことを知り、意識しておけば事故を防ぐことができます」
そこで、生徒たちが実際に腕や指をつかって死角を疑似体験することに。
「内輪差」も「死角」も車が大きくなればなるほど増えるということが理解できたと思います。
(10)「サンキュー事故」と呼ばれるよくあるケースの事故です。
駐車場に右折で入ろうとする車に、対向車線のトラックが道を譲り、そのまま右折進入した際に、トラックの脇(横)から飛び出してきた自転車が衝突する、という事故です。
どうすればよかったのか。「自転車は前方を走る車が停止したら、車や歩行者が出てくることを予測し、一時停止や徐行をすればよかったのです」
最後にMCの方から、「今日見たスタントを自分のこととして心に置いて、事故のない一生を送ってください」との言葉がありました。
終わりの挨拶では、福山東警察署 信永交通第一課長より「スタントマンのすばらしさに加え、生徒の皆さんが交通安全・ルールを一生懸命聞いている姿を見て感動しました。
先日、福山市でトラックの左折に巻き込まれ女子高生が亡くなるという事故がありました。先程、スタントで見た内輪差による巻き込み事故です。ちょっとしたことで事故になり、けがや命が亡くなる危険があります。何年か後に友達と集まったときに、皆さんが元気で会えるように交通安全を心掛けていただきたいです。最後に、協力いただいた方々へ感謝し、事故のないよう努めましょう」と語られました。
そして生徒代表の桒田昌伸さんより 「今日は自転車教室を開いていただきありがとうございました。スタントの再現を見て、事故の怖さを実感しました。これからは安全に気を付けて生活していこうと思いました」と感想を述べ、授業は終了しました。
この日の感想を生徒に聞いてみました。 間 実紅(左)さんは「スタントの再現を見て、事故の怖さを実感できました。自転車通学をしているので、前や横に注意して通学したい」
藤井希歩(右)さんは「時速40km/hはそんなに速くないと思っていたけど、再現を見て、実際は速いと感じて怖かったです。私は自転車通学をしていて、時々事故をしそうになることもあるので、これからはもっと気を付けて運転しようと思いました」
今日の自転車交通安全教室で感じた気持ちを心に置き、ルールを守って楽しく、安全安心な学校生活を送って欲しいと思います。