地域貢献活動レポート「自転車交通安全教室」福山市立神辺東中学校
2020.11.25

令和2年10月21日(水)福山市立神辺東中学校にて「自転車交通安全教室」を開催しました。爽やかな秋晴れのもと、223名の生徒の皆さんが校内グラウンドに集まりました。
まずは松本校長先生より「昨年の全国の自転車の交通死亡事故の約60%は中高生で、ほとんどは安全確認を怠ったことが原因とのことです。日常のちょっとした不注意から事故にあってしまうことがあります。今日学んだことをこれからの行動に活かして行きましょう」とあいさつがありました。
続いてJA福山市湯田支店 吉門英明支店長より「皆さんの日常生活の中で自転車は利用頻度が高いと思います。いかにして事故が起きるのか実演で実感していただきます。なお、一つお願いがあります。自転車を運転中のスマホ使用は絶対にしないでください」とありました。
MCの方から「実際に死亡に繋がっている事故を再現しますので、もし自分だったら、または自分にとって大切な人たちがこのようなことになったら、と想像しながら真剣に見てみてください」と生徒の皆さんに訴えました。
まずは生徒の皆さんへの質問から始まります。
「事故の多くは、時速何キロのときに発生していると思いますか?」
生徒の皆さんは「60km/h!」「80km/h!」と積極的に答えてくれましたが、答えは「なんと40km/hです。さてこの速度が速いのか遅いのか実際に再現してみましょう」
ドカーン!ガシャーン!と、大きな衝突音と同時に生徒たちから「おおぉー…」や「キャー!」などどよめきと悲鳴のような声が上がりました。人形が跳ね飛ばされた距離や衝撃、自転車のフレームやタイヤは曲がり、使い物にならない様子が伺えました。
続いて、自転車も通行できる歩道を自転車で走行中に様々な違反をしている人たちの様子を示します。
それぞれ「ヘッドフォンで音楽を聴きながらの運転」、「電話をかけながらの運転」、「お酒を飲みながらの運転」です。
このような交通ルールを違反した時の最悪の場面がこちら。
本人たちが予想もしなかった大きな事故やケガを引き起こしてしまいます。
次に見通しの悪い交差点で一時停止と左右の確認を怠った時の事故の再現です。
とても悲惨な事故になりました。では、どうすれば防げたのか、お分かりですね。
交差点の前で一時停止し、左右を確認するだけで、防げる事故がたくさんあります。
今度は雨天時の設定です。それぞれがルールを守らずに歩道を走行中に起きた事故です。
このような事故にならないようにするためには、どうすればよかったのか…
歩道では自転車は車道寄りをゆっくりと走行、歩行者を優先しなければなりません。
過去、実際にあった事故を紹介します。
自転車に乗ったまま携帯を見ていた女子高生が、54歳の女性と衝突事故を起こしました。
その女性には後遺症が残り、女子高生はおよそ5400万円という賠償をすることになったそうです。事故は、関わった全ての人の人生を変えてしまうことになります。
続いて、同じく雨天時、自動車も巻き込んで起きた複合的な事故を再現します。
「二人乗り」、「傘をさしながら運転」、「並進走行」、「ヘルメットなし」
これらのルール違反をせず、車道寄りをゆっくりと走行することが事故を防ぎます。
「ルールを守れば、ルールが自分を守ってくれることを覚えていてください。それともう一つ大事なことがあります。皆さんが事故の当事者になったり、目撃した時は「大丈夫ですか?」と被害者の安否を確認して、すぐに警察や救急車を呼んでください。素早い対処で救える命があります」とMCの方が語ります。
続いて「次は私の友人が中学生の時、実際にあった」という事故、急に開いた車のドアに激突する自転車事故の再現です。
「友人はこの事故で頭を10針も縫う大ケガをしてしまいました。今でもその出来事を覚えています。自転車で車の横を通る時は、ドアが開くかもしれない、車の影から歩行者が出てくるかもしれないと予測しながらゆっくりと徐行してください。また、将来、大人になって自動車を運転するかもしれません。その時はドアを開ける時の後方確認を怠らないようにしましょう」と実体験を交えてMCの方は語ります。
さて「内輪差」について聞いたことがあると思います。車道で自転車を運転している時、気をつけたいポイントです。具体的にどのようなものなのか、左折時の巻き込み事故の例を自転車の場合と、歩行者の場合をそれぞれ大型トラックを使っての実演です。 まずは自転車が巻き込まれるケースです。
次に歩行者(人形)が巻き込まれたケースです。
これらの事故がどうして起こるのか、それは大型自動車の「内輪差」と「死角」に大きな原因があります。大きな車がカーブを曲がる時に後ろの車輪が前の車輪より内側へ入ってしまい「内輪差」ができてしまうこと、そして右側の運転席からは左側の前方が全く見えない「死角」があることがわかります。自転車を運転する時や歩行者は、これらを意識しておけば事故を防ぐことができます。そこで、生徒の皆さんには、車の死角を疑似体験してもらいました。
最後に、これもよくある事故の中の一つ「サンキュー事故」と呼ばれるものを再現。
ショッピングモール内の駐車エリアにある交差点で、大型トラックが右前方から来た右折車に「お先にどうぞ」と道をゆずります。右折車はそれに応じて右折したところ、大型トラックの左から飛び出してきた自転車と激突したという、恐ろしい事故です。 自転車は前方を走っている車が停止したら、歩行者や自動車が飛び出してくるかもしれないと予測して一時停止をすべきだったのです。
最後に「大きな事故を起こさないよう、走行中は油断をせず、ルールをしっかりと守り、歩行者への気遣いも大切です。今日体感した事故の恐ろしさ、驚きを自分のものにしてください」とMCの方が語り、生徒の皆さんからの拍手で終了しました。
そして、福山北警察署の寺田交通課長より挨拶がありました。
「大事なことはルールを守ること、その上に安全というものがあること」「事故が起こったら、大丈夫ですか?と声をかけること」「自分がいつ事故にあうかもしれないから、それに備えたルールを守った運転をすること」など、重要なポイントを改めて述べられ、事故を見たり、事故にあったら絶対に警察や消防に届けるように念を押していらっしゃいました。
続いて、生徒代表の3名から本日の実演に対する感想と感謝を述べて、授業は終了です。
2年生の兵頭元気さんは
「今日の自転車交通安全教室で印象に残ったのは、一時停止をせずに飛び出して、車にはねられたところの再現です。声には出さなかったけど『うわっ』と思いました。怖かったです。登下校で自転車を使っていて、交差点にはだいたい一時停止の看板や標識があるので、もっと意識して安全に乗りたいと思いました」
同じく2年生の岡本歩夢さん。
「私自身は事故にあったことも、居合わせたこともないのですが、他の様々な事故のケースをみて、やはりルールは大事だし、守ってくれるものだなと実感しました。登下校時の道には交差点が多いので、これからも安全を心がけたいと思います」
「ルールを守れば、ルールがあなたを守ってくれる」
この言葉と一緒に自転車を運転して、学校生活をより安全・安心に送ってほしいですね。