わかるともっとおもしろい!美術のミカタ「なかた美術館」
2023.02.28

みたことある!知っている!
…つもりになっている有名絵画。
視点を変えると知らなかった
面白さがまだまだみつかる!
美術家の三桝先生が
有名美術作品の新たなミカタをご紹介します。
日本とフランスの
近現代アートの交差を
しまなみで堪能しよう
今回紹介する「なかた美術館」は、地元尾道の企業、株式会社ナカタ・マックコーポレーションが運営する私設の美術館です。1997年の本社新設に併せて、同年2月に開館。そして2022年に開館から25周年を迎えました。
所蔵コレクションは、ポール・アイズピリ、ピエール・クリスタンなどのフランス現代絵画や、立体やエコール・ド・パリを中心としたフランス近代絵画。さらに、梅原龍三郎、中川一政、林武らの日本近代絵画。そして、地元尾道を代表する小林和作や、「絵のまち尾道四季展」招待作家作品など約270点ほど。これらの作品を中心にして、テーマを設けた自主企画展が開催されています。
なかた美術館外観
鑑賞ポイント その1 ゆっくり、ゆったりと |
美術館内展示風景
ワークショップ風景
館内の展示スペースは5つの部屋に分かれており、作品は心地よい間隔で展示され、一つひとつをゆっくり、ゆったり楽しむことができ、展示全体のテーマや雰囲気を深く味わいながら鑑賞できるのが特徴です。
来館者へ向けては「学芸員によるギャラリートーク」、「フィールドワーク」、「レクチャー」、「ワークショップ」など、展示に合わせた独自の関連プログラムを企画しています。子どもと一緒に楽しめるプログラムもたくさんあるので、ファミリーで訪れるのもおすすめです。
また、この展示スペースでは同館所蔵のチェンバロを中心としたバロックの室内コンサートを定期的に行ったり、ジャズやクラシックの演奏家を招いたライブ演奏を企画するなど、音楽鑑賞の場としても活用されています。併設するフレンチレストランのディナー付きコンサートなどの企画も来館者を楽しませています。
詳細はホームページでご確認ください。
鑑賞ポイント その2 ポール・アイズピリ作品の |
小鳥と少年(1973) 油彩・キャンバス、100×60cm
ボーヴァロンの画家(1976) 油彩・キャンバス、150×295cm
フルーツのある静物(1995) 油彩・キャンバス、60×73cm
サントロペの湾(1975) 油彩・キャンバス、150×150cm
こちらのコレクションの中で、私が最も惹かれるのは、日本国内でも評価の高いフランスの現代具象画家、ポール・アイズピリ(1919-2016)の作品です。こちらには、大作から小品まで約50点が収蔵されています。豊かな色彩で描かれた作品からは、鳥のさえずりや人々の会話など色々な音が聞こえてくるようです。きっと子どもから大人まで興味をもって味わい堪能できるはず!ここに紹介した画像は私のお気に入りの作品です。もし展示されていたら、ぜひご覧になってみてください。
鑑賞ポイント その3 これは絶景! |
日本庭園風景(枝垂れ梅)
「なかた美術館」の裏手は山に面しており、敷地内には四季折々に景色が変化する日本庭園があります。ここで私が強い印象を受けたのは、春先に咲く「枝垂れ梅」です。実はその美しさに惹かれ、私も庭園にある茶室に「枝垂れ梅」を描かせて頂きました。館内に併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、美術鑑賞したあとの余韻とともにその日本庭園を眺めながらのランチタイムやティータイムを楽しめます。さらに美術館閉館後もライトアップされた庭園を眺めながらのゆったりと本格的なディナーを味わうことができるとあり、素晴らしいロケーションだと思います。
茶室の襖絵「枝垂れ梅」※現在は非公開
「坂の街」「文学の街」「映画の街」として、新旧の文化の交差を行いながら、豊かな文化を育んできた尾道。この街にある「なかた美術館」は日本とフランスの近現代のアートが交差する美術館と言えるでしょう。尾道の四季とアートに触れる、豊かなひと時を楽しみに訪れてみてはいかがでしょう。
ショップコーナー(ポール・アイズピリのグッズもあります。)
・参考資料 なかた美術館ホームページ
なかた美術館 広島県尾道市潮見町6番11号 http://www.nakata-museum.jp/ |